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2026.8.11
トミヤママチコのブログ
「私は、色が大好きだったわけではありません」

色の仕事をしている人というと、
「小さい頃から色が大好きだった」
「子どもの頃から絵を描くことやファッションが好きだった」
そんな人を想像されるかもしれません。ところが、私はそうではありませんでした。
もちろん色が嫌いだったわけではありません。
けれど、特別に色が好きだったとか、人より色に興味があったという記憶もありません。むしろ、ごく普通に、ごく平凡に色を見ていた一人だったと思います。
では、そんな私が、なぜ40年以上も色の仕事をすることになったのでしょう
始まりは「色が好き」ではなく、「これから何をしよう」でした
子育てが一段落した頃、私はこれからの自分について考えるようになりました。
「これから私は、何ができるだろう」
何か新しい生きがいというか、自分なりのテーマが欲しかったのだと思います。
ただ、若い頃からキャリアを積み重ねてきた人たちと同じ業界で、今から競争するのは不利だとも考えていました。
そんなことを考えていたある日、NHKテレビの新情報みたいなコーナーで「パーソナルカラー」というものを知りました。
今では当たり前のように使われる「似合う色」という考え方です。
当時すでに、ファッションやメイクの情報はたくさんありました。
けれど、「その人に似合う色」という視点から色を見ることは、私にとって新鮮でした。「これは面白いかもしれない」
そしてもう一つ、
「これは自分の第二のキャリアになるかもしれない」
そう思ったのです。
そこから養成所を探し、勉強を始め、やがてプロとして仕事をするようになりました。
ところが、勉強するほどモヤモヤしてきました
パーソナルカラーの世界に入って、私はすぐ夢中になった――と言いたいところですが、実はそうでもありませんでした。
私には、どうしても引っかかることがあったのです。
「そもそも、“似合う”って何だろう?」
先生が「似合う」と言えば、それは似合うことになるのだろうか。
まだ経験の浅い私が「お似合いです」と言って、お客様が喜んでくだされば、それでプロとして成立するのだろうか。
似合う、似合わないを判断する基準は、いったいどこにあるのだろう。
仕事をしながらも、そのモヤモヤは消えませんでした。
今振り返れば、私は最初からパーソナルカラーを少し斜めから見ていたのかもしれません。
中に入り込んで信じ切るというより、一歩離れたところから、
「本当にそうなの?」
と考えてしまう。
けれど、結果的にはその距離感が、今の私につながったように思います。
私の疑問を解いてくれたのが「色彩理論」でした
その答えを探すうちに、私は色彩に関係する色々な本を読むようになっていました。私が求めたのは皮肉なことにパーソナルカラーの本ではなく、もっとごちゃまぜの分野でした。1ページ読んでは眠くなる難しい本から、そうだそうだと引き込まれるような本まで「色」について書かれた本でした。そういう知識を得るうちに、それまでモヤモヤしていたことの扉が、一つずつ開いていきました。
その中でも色彩理論は、長い間わからなかった謎を解くための、いわば「鍵」だったのだと思います。パーソナルカラーの考え方も、色彩理論の側から見れば説明できることがたくさんあったのです。
「なるほど。そういうことだったのか」
そして私は、パーソナルカラーという分野を、もう少し理論的に整理できないだろうか、もう少し客観的に考えられないだろうか、と考えるようになりました。
これが、今の私の仕事の土台になっています。
色が本当に面白くなったのは、ずっと後でした
不思議なものです。
色が大好きで、この世界に入ったわけではない。
パーソナルカラーに出会っても、最初からすべてに納得していたわけではない。
むしろ、
「なぜ?」
「本当に?」
「どうして?」そんな疑問ばかり持っていました。
ところが、その疑問を一つずつ追いかけているうちに、気がつけば40年以上も色に関わっていました。
そして今、思います。
色が一番面白いのは、もしかすると今かもしれない。
色は、私には大きなパズルのように見えます。
一つわかると、その向こうにまた一つ疑問が現れる。
単純なようで奥が深く、物理的な現象でありながら、人間の感情や心理にも深く結びついている、その時代の社会情勢にも深く結び知ている、色は時代の子なのだとも思います。
まだまだ考えてみたいことがありますが、時間は何時でも足りません。
人生の中で一つのものを長く探究していると、ずっと同じ熱量で進むわけではありません。
近づいたり、離れたり、疑ったり、面白くなったり。
いろいろな波があります。
だからこそ、40年以上たった今になって、こんなに色が面白いと思っている自分が、私は少し不思議でもあります。
若い頃よりも今のほうが、色について知りたいことがたくさんあります。
私の色彩人生は、長い時間をかけて、ようやく「色って面白い」というところまでやってきたのかもしれません。
そして今が、一番好奇心旺盛で、一番元気に、色の謎を追いかけている時期なのだと思っています。

